リモートワーク時代に増加中!オンラインハラスメントの種類と対策法

新型コロナウイルスの影響により急速に普及したリモートワーク。

場所や時間に縛られない柔軟な働き方として定着しつつありますが、対面でのコミュニケーションが減少した一方で、新たな職場問題として「オンラインハラスメント」が注目されています。

画面越しだからこそ生まれる誤解やコミュニケーションの齟齬が、知らず知らずのうちにハラスメントになっているケースも少なくありません。

本記事では、リモートワーク環境で発生しやすいオンラインハラスメントの種類とその対策について、企業担当者の方々に向けて解説します。

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オンラインハラスメントとは

オンラインハラスメントとは、メールやチャット、ビデオ会議などのオンラインツールを通じて行われる、相手を不快にさせる言動や行為のことを指します。

従来の対面での職場ハラスメントとは異なり、文字だけのコミュニケーションによる誤解や、画面越しだからこそ生まれる心理的距離感が背景となって発生することが特徴です。

リモートワークが一般化する中で、オンラインハラスメントの報告件数は年々増加傾向にあります。

厚生労働省の調査によれば、2023年のハラスメント相談件数のうち約25%がオンライン上で発生したものだという報告もあります。

このような状況から、企業にとってオンラインハラスメント対策は喫緊の課題となっています。

増加するオンラインハラスメントの主な種類

タイムプレッシャーハラスメント

業務時間を短縮することを強要するハラスメントで、「時短ハラスメント」「ジタハラ」とも呼ばれます。

リモートワーク環境では、「今すぐ対応して」「至急確認を」といったメッセージが頻繁に送られることがあります。

対面であれば相手の状況を見て判断できることも、オンラインでは相手の状況が見えないため、無意識のうちに時間的プレッシャーをかけてしまうケースです。

特に終業時間後や休日に仕事関連のメッセージを送ることで、受け手は常に仕事モードを強いられる状況に追い込まれることがあります。

リモートモニタリングハラスメント

従業員の作業状況を過剰に監視するハラスメントです。

「オンライン状態を常に緑(アクティブ)にしておくように」「画面共有を一日中続けて」など、過度な監視による精神的負担を強いるケースが該当します。

信頼関係の欠如から生じることが多く、従業員のプライバシーを侵害するだけでなく、創造性やモチベーションの低下にもつながりかねません。

オンラインミーティングハラスメント

ビデオ会議中の不適切な言動や行為がこれにあたります。

「カメラをつけていないと会議に参加する気がないように見える」というプレッシャーや、自宅の背景を理由にしたプライベートへの言及、また長時間のミーティングを強要するなどの行為も含まれます。

特に自宅からの参加者にとって、プライベート空間が晒される不安感や、終日ミーティングが続くような状況は大きなストレスとなります。

デジタルマイクロアグレッション

一見すると悪意のない小さな言動が、繰り返されることで相手を傷つけるケースです。

例えば「既読無視」や返信の遅れを責めること、チャットでの短い返答や絵文字のみの反応、特定の人だけをグループチャットから除外するなどが挙げられます。

意図せず行われることも多いため、発見や改善が難しいハラスメントといえます。

テキストハラスメント

文章でのコミュニケーションにおける言葉の選び方や表現方法によって生じるハラスメントであり、ロジカルハラスメント(ロジハラ)や、正論を振りかざして相手を追いつめる行為などが含まれます。

過度な命令口調のメッセージ、あいまいな表現による責任転嫁などが含まれます。

対面であれば表情やトーンで和らげられる言葉も、テキストだと冷たく厳しい印象を与えることがあります。

オンラインハラスメント対策のポイント

明確なコミュニケーションガイドラインの策定と周知

オンラインでのコミュニケーションにおける基本ルールを明文化しましょう。

緊急度の表現方法、返信期待時間の目安、業務時間外の連絡に関するルールなどを具体的に定めることで、お互いの期待値を合わせることができます。

特に重要なのは、これらのガイドラインを全社員に周知し、定期的に振り返る機会を設けることです。

心理的安全性を重視した職場文化の醸成

オンライン上でも相手を尊重し、意見を自由に言い合える環境づくりが重要です。

例えば、ミーティング中に「カメラオフでも問題ない」と明示することや、定期的に一対一の面談を行い心理的な距離を縮める工夫をするなど、小さな配慮が大きな効果を生み出します。

経営層や管理職がモデルケースを示すことで、組織全体に健全なコミュニケーション文化が広がります。

適切な研修プログラムの実施

オンラインハラスメントに特化した研修を定期的に実施することで、従業員の意識向上を図りましょう。

ロールプレイを取り入れることで、無意識のうちに行っているハラスメント行為に気づく機会になります。

また、異なる立場や感覚を持つ人の視点を理解するワークショップも効果的です。

デジタルデトックスの推奨

常にオンラインであることによる精神的疲労を防ぐため、意識的に「オフライン時間」を設ける企業文化を作りましょう。

例えば「ノーミーティングデー」の設定や、就業時間後のメッセージは翌営業日の対応で良いことを明確にするなど、デジタル疲れを防ぐ工夫が必要です。

相談窓口の設置と周知

オンラインハラスメントを受けた従業員が安心して相談できる窓口を設置し、その存在を積極的に周知することが大切です。

特に匿名で相談できる仕組みや、第三者機関による相談窓口の設置は、被害者の心理的ハードルを下げる効果があります。

オンラインハラスメント防止は組織の責任

オンラインハラスメントの対策は、単に個人のマナーの問題ではなく、企業としての重要な責任です。

放置すれば従業員のメンタルヘルスの悪化や離職率の上昇、さらには企業イメージの低下にもつながりかねません。

リモートワークやハイブリッドワークが今後も継続する中で、対面とオンラインそれぞれの特性を理解し、適切なコミュニケーション環境を整えることが、組織の生産性と健全性を維持する鍵となります。

BasisPoint Academyでは、オンラインハラスメント防止に特化した研修プログラムをご用意しています。リモートワーク環境における効果的なコミュニケーション方法や、管理職向けのマネジメント手法など、御社の状況に合わせたカスタマイズも可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。

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さいごに

リモートワークの普及により増加しているオンラインハラスメント。

その種類は多岐にわたり、意図せず加害者になってしまうケースも少なくありません。

重要なのは、オンラインコミュニケーションの特性を理解し、明確なガイドラインを設けること、そして何より相手を思いやる気持ちを持つことです。

企業としては、適切な研修や相談体制の整備、心理的安全性の高い職場文化の醸成を通じて、全ての従業員が安心して働ける環境づくりに取り組むことが求められています。

オンラインハラスメント対策は、今や企業の社会的責任の一つといえるでしょう。